施術集

2015.05.13

経椎間孔性頸部硬膜外ブロック

 当院では頸部硬膜外ブロックは安全性、確実性のためにレントゲン透視下で施行してきました。それでもなお硬膜穿刺、硬膜外血腫などの合併症の可能性がありました。最近、神経根周囲から椎間孔を通して硬膜外腔に薬剤を注入する経椎間孔アプローチによる頸部硬膜外ブロックが開発され施行される施設が出てきました。当院でもより安全性、確実性を高めるため従来の透視下頸部硬膜外ブロックに加えて経椎間孔性頸部硬膜外ブロックを行う事になりました。
第1/2胸椎椎間孔から刺入する方法で頸椎下部の病変に対しては安全でかつ有用な治療法です。

 手技の実際

  1. レントゲン透視下で行います。体位は胸の下にパッドを入れた腹臥位(うつむき)で、両腕は脇腹に付けた格好になります。
  2. レントゲン透視で刺入部位を確認、マークを付けます。皮膚消毒、清潔シーツを被せます。
  3. 23-25ゲージのカテラン針で局所麻酔しながら刺入して行きます。
  4. 肥えた人で針が十分届きにくい時は10cmブロック針を使う事もあります。
  5. 目的部位に達したら造影剤を注入します(このとき腕に響くことがあります)。レントゲン写真を撮影します。局所麻酔薬2-5mlとステロイド2-4mgを注入して終了します。
  6. 注入後ベッドで安静にしていただきます。
 
利点*片側に疼痛にある場合はより安全確実で有効率が高い。硬膜穿刺を防げる。脊椎外で血腫が出来ても保存的に治療が出来て致命的な合併症が起こしにくい。
 
欠点*片側にしか効果がない。頸椎の上部には薬が届きにくい。
   気胸、神経根損傷の可能はある。
 

経椎間孔性頸部硬膜外ブロック


右T1/2経椎間孔性頸部硬膜外ブロック


左T1/2経椎間孔性頸部硬膜外ブロック

 

2013.09.11

硬膜外ブロック

硬膜外ブロックとは脊椎(背中の柱状になった骨、背骨)の中の硬膜外腔(脊髄神経を取り巻いている硬膜の外側にあるスペース)に局所麻酔薬を注入して脊髄神経の伝達を一時的にブロック(遮断)する方法です。ペインクリニックでは非常に多く施行されている手技です。
交感神経、知覚神経、運動神経を一時的に遮断します。この注射を繰り返すことにより首から下のいろいろな痛みやしびれを治して行きます。
この注射を受けますと、次のような症状が起こります。

  1. ブロック(遮断)された神経の支配している部分が温かくなる。
    (血管が拡張して血液の循環が良くなる。これは交感神経が遮断されたためです)
  2. 皮膚の感覚が鈍くなった感じがする、痛みが鈍くなる。しびれた様な感じがする。
    (腰からの注射なら足腰、胸からの注射なら胸腹、首からの注射なら上肢。これは知覚神経が遮断されたためです)
     
  3. 局所麻酔薬の濃度が濃い時は腰からの注射なら足が、首からの注射なら手や上肢が動きにくくなることがあります。これは運動神経が遮断されたためです。

しかし、これらの症状は一時的で局所麻酔薬の作用が切れると元に必ず戻りますので心配いりません。この注射を受けた方は約30〜40分程度ベッドにて安静にしていただきます。これでもしびれが残っている方は回復するまで休んで頂きます。必ず、この注射によるしびれなどは回復しますので心配しないでください。ただ自動車や自転車の運転は危険ですので十分注意してください。
局所麻酔薬の効果がなくなっても痛みの程度が低下した状態が続くなら「硬膜外ブロックは有効」と判断します。これは痛みを伝える神経を強力に遮断すると遮断がなくなっても痛みの軽減が続くという「痛みの悪循環」がなくなるからと考えられています。通常の痛み止めの薬とは作用機序が全く異なります。
痛み止めの薬は全身作用がありますが硬膜外ブロックは局所麻酔薬の作用する部位のみですので全身作用はありません。

合併症

  1. 硬膜穿刺針(ブロック針)が硬膜より深い所に入り、くも膜下に局所麻酔薬が入ることがあります。多くの場合、医師が気づきます。薬が効き過ぎることになります。テストの薬をまず入れますので、すぐに身体が温かくなったりしびれが出て来たらすぐ申し出てください。テストの量では効き過ぎにはなりません。また、頭痛が出現することがあります。横になっておれば頭痛はなく、立てば頭痛が出現します(立位性頭痛)。
  2. 出血、血腫血の固まりにくい人、血が固まらないようにする薬を飲んでいる人に、稀に起こることがあります。
  3. 感染局所麻酔薬には抗細菌作用がありますが、持続硬膜外ブロックでは起こることがあります。
  4. 神経根穿刺ブロック時に強い放散痛があります。ステロイドを注入して神経炎を予防します。

硬膜外ブロックの適応(どういう疾患におこなうか?)

1.全部位に関する疾患

帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、悪性腫瘍による痛み、手術後創部痛

2.頸部硬膜外ブロック

頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性神経根症、頸椎椎間関節症、外傷性頸部症候
群、頸肩腕症候群、上腕神経叢神経炎、頸性頭痛、胸郭出口症候群、上肢の
血行障害、上肢複合性局所疼痛症候群、上肢幻視痛や断端痛、 など

3.胸部硬膜外ブロック

開胸後症候群、軟治性肋間神経痛、胸椎椎間板ヘルニア、胸部神経根症、圧
迫骨折後痛、外傷後胸部痛、胸椎椎間関節症、腹部内蔵痛、乳房切除後症候
群、など

4.腰部硬膜外ブロック

腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離滑り症、椎間板性腰痛、根性
膝部痛、圧迫骨折後痛、腰椎椎間関節症、下肢複合性局所疼痛症候群、下肢
幻視痛や断端痛、下肢の血行障害、下腿潰瘍、月経困難症、通風発作、など

動画を見る場合はこちらから


透視下頸部硬膜外ブロック


透視下右頸部硬膜外ブロック

5.仙骨部硬膜外ブロック

尾骨痛、肛門部痛

 

2013.09.11

神経根ブロック

神経根ブロック(ルートブロック)とは脊椎(背中の骨)から出る神経の根元に直接もしくは神経周囲に局所麻酔薬とステロイド(炎症や浮腫をとる薬)を注入して神経の伝達を一時的に遮断して痛みを取るブロックです。また神経根ブロックに先立って選択的神経根造影を必ず行います。神経を造影することによって痛みの原因となっている神経の走行、圧迫等の異常がないかも同時に調べられます。
神経根ブロックはレントゲン透視をみながら行います。ブロックにかかる時間は場所、人によって異なりますが約10分程度かかります。一番大事なことはブロックする時の体位がきちんととれるかどうかです。体位がとれれば数分以内に終了します。

ブロック時の体位

頸部神経根ブロック(後方斜位法)--痛い方を上にした横向きで背中に枕を入
れてそれにもたれかかる様な斜めの体位。
胸部・腰部神経根ブロック(腹臥位法)ーーうつむきで針を刺す場所を水平に
するため胸もしくは腹部の下に枕を入れます。
他に斜位法(痛い方を上にした斜めの体位)もあります。

神経根ブロックの手順

  1. 体位がとれれば透視を見ながら針を刺す場所を決めます。
  2. 皮膚消毒を行い、清潔シーツを被せます。
  3. 局所麻酔薬で皮膚から針を刺す場所に浸潤させます(痛み止め)。
  4. ブロック針を刺入します。
    (A:胸部・腰部神経根ブロックB:頸部神経根ブロック)
    A:神経近傍に針先が来たら造影剤を注入し神経根周囲に針先があり神経根に沿って造影剤が硬膜外腔に流入する事を確認します。圧迫感を感じることがあります(この時神経根に直接当たって放散痛がおこる可能性はあります!)。
    B:神経に当たると「ピリッー」といつものところに痛みが走ります(再現痛)。そして造影剤を注入します。痛みのあるところに放散痛、圧迫感があります。
  5. レントゲン写真を撮影します。
  6. 局所麻酔薬とステロイドの混合液を注入します。注入し始めると「スッー」と痛みがなくなります。
  7. ブロック針を抜いて終了します。
  8. 処置台で約1時間程安静にしていただきます。腰部神経根ブロックでは下肢が、頸部神経根ブロックでは肩から手がしびれています。動きにくい事もありますが時間が経てば必ず戻ります。手、下肢が十分に動き、しびれがとれたら帰宅していただきます。
  9. 痛みの走った部位に2-3日痛みやしびれが残る事がありますがほとんどの方はその数日後におさまります。おさまらない時はその由を医師に申し出てください。この神経根ブロックは効果があれば劇的ですが、硬膜外ブロックと異なりそう頻回には出来ません。学会基準では10~14日空けて1ヶ月間に3回を限度とする、となっています。神経根ブロックは有効であるが効果が持続しない場合は神経根高周波熱凝固法を行う事があります。

合併症

1:頸部神経根ブロック

椎骨動脈穿刺による出血--動脈に針が通るとしっかり圧迫しないと内出血を
起こす事があります。

2:胸部神経根ブロック

気胸ーー肺の方に針が行った時に起ります。胸痛、呼吸が苦しくなる。
レントゲン写真を撮影します。

3:頸部、胸部、腰部神経根ブロック

くも膜下穿刺--針が脊椎の内側に入り過ぎると稀に起る。造影剤、テストの
薬で幅広くブロックが起こります。
神経根の損傷、神経炎--ブロック前から神経根の障害が高度な人、短時間に
頻回に神経根ブロックを行うと起る事があります。
他に感染などの合併症が起る事もあります。
 

動画を見る場合はこちらから 動画を見る場合はこちらから


右第6頸神経根ブロック(後方斜位法)


右第6頸神経根ブロック(正面像)


右第5胸神経根ブロック

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